「このプログラム、動いてはいるけれど、中身を見るのが怖い」。そんな状態を、エンジニアたちは少しユーモラスに「スパゲッティコード」と呼んでいます。
スパゲッティコードとは「絡み合った麺」に例えた表現
スパゲッティコードとは、プログラムの処理の流れがあちこちに飛び火し、複雑に絡み合ってしまい、読み解くのが非常に困難になった状態のプログラムを指す言葉です。皿の上でぐちゃぐちゃに絡み合ったスパゲッティの麺のように、どこから手をつければいいのか分からない様子に例えて、こう呼ばれるようになりました。
具体的には、1つの処理があちこちの別の処理を呼び出し合い、さらにそれぞれが複雑な条件分岐を含んでいる、といった状態です。全体の設計図がないまま、その場しのぎの修正を繰り返した結果、こうした状態に陥ることが多くあります。
なぜ、動いているのに問題視されるのか
スパゲッティコードの厄介なところは、「動いている」という事実だけでは問題が表面化しないことです。利用者から見れば、画面は正常に動いており、何の不都合もありません。
しかし、開発する側から見ると話は別です。ある機能を少し変更しようとしただけで、思いもよらない別の場所に影響が出てしまう、ということが頻繁に起こります。原因を探るだけでも多くの時間がかかり、修正のたびに新しい不具合を生んでしまう、という悪循環に陥りやすくなります。結果として、簡単なはずの改修作業に、想定の何倍もの時間とコストがかかるようになっていきます。
どうしてこの状態になってしまうのか
スパゲッティコードが生まれる背景には、いくつかの共通したパターンがあります。
- 納期に追われ、その場しのぎの修正を繰り返してしまう
- 最初の設計段階で、将来の機能追加を想定していなかった
- 複数の担当者がそれぞれ独自のやり方で手を加え続けた
- 「動いているから」という理由で、整理する機会が先送りにされ続けた
どれか一つが原因というより、こうした要因が長期間にわたって積み重なることで、徐々にこの状態へ近づいていくケースがほとんどです。
向き合い方
一度スパゲッティコード化してしまったプログラムを、すべて理想的な形に作り直すのは、多くの場合現実的ではありません。実務では、頻繁に変更が発生する部分から優先的に整理する、新しく追加する機能だけは最初から整った設計にする、といった形で、少しずつ改善していくアプローチが取られることが多いです。
一気に解決しようとせず、「これ以上複雑にしない」という意識を持ちながら、触れる機会があるたびに少しずつ整えていく。この地道な積み重ねが、結果的に一番現実的な向き合い方だと感じています。
まとめ
スパゲッティコードは、処理の流れが複雑に絡み合い、読み解くのが困難になったプログラムを指す言葉です。動作そのものに問題がなくても、改修のたびにコストがかさんでいくという、見えにくい形で悪影響を及ぼします。完璧な整理を一度に目指すのではなく、触れるたびに少しずつ整えていく姿勢が、現実的な向き合い方だといえます。