
結論: 位置情報のズレは、電波の反射や受信状況、設定が原因のことがほとんどです。まず位置情報の設定、屋内や地下にいないか、Wi-Fiやモバイル通信の状態を確認してください。
GPSは複数の情報を組み合わせて位置を特定している
スマホの位置情報は、実は衛星からのGPS信号だけでなく、周辺のWi-Fiや携帯電話の基地局の情報なども組み合わせて、より正確な位置を割り出しています。位置情報がずれる・改善しないと感じたら、まずはこれらの情報がうまく取得できているかを、順番に確認していきましょう。
そもそも、なぜGPSには誤差が生じるのか
GPSは、複数の人工衛星から届く電波の時間差を計算して、地球上の位置を割り出す仕組みです。理屈の上では非常に正確ですが、実際には以下のような要因で、数メートルから、時には数十メートル単位の誤差が生じることがあります。
- 電波が建物やビルの壁に反射してから届くことで、実際より遠回りした時間で計算されてしまう(マルチパスと呼ばれる現象)
- 上空の状態(電離層の影響)によって、電波の伝わる速度がわずかに変化する
- 受信できる衛星の数が少ないと、位置の計算精度が落ちる
屋外の見晴らしの良い場所では誤差が数メートル程度に収まることが多い一方、高層ビル街や山間部では、誤差が数十メートルに広がることも珍しくありません。
「誤差10m」は、実際どれくらいのズレなのか
「誤差10メートル」と言われても、数字だけではピンと来ないかもしれません。体感に置き換えると、次のようなレベルのズレです。
- 横断歩道1〜2本分、位置がズレる
- 目的のお店ではなく、隣のお店に案内されてしまう
- 駐車場で、自分の車がどこにあるか地図上では分からなくなる
「誤差5〜10m」という数字を「隣の店に入ってしまうレベル」と言い換えるだけで、多くの人がその影響の大きさを直感的に理解してくれます。
誤差を甘く見て、実際に起きる問題
位置情報を扱うシステムや設計に関わる中で、この誤差を軽視したことで問題が起きるケースを何度も見てきました。
- 地図上のピンを「正確な場所」のように見せてしまう:実際には±10m程度のズレがあるのに、ピンポイントで示しているように見せると、「お店が見つからない」「場所が違う」といった問い合わせや信頼低下につながります。ピンは「だいたいこのあたり」として伝わるような見せ方が大切です
- 屋内でもGPSの精度をそのまま信用してしまう:屋内はGPSの精度が大きく落ちるため、「目の前にあるはずなのに案内が違う」「階が違う場所を示す」といったことが起こります。屋内はWi-FiやBluetoothの情報を前提にした設計が必要です
- 「数メートルの誤差なら業務上問題ない」と考えてしまう:実際には、配送先が数メートルズレただけで隣の家に届いてしまい、再配達のコストが発生する、といった実害につながることがあります
- 位置情報だけで行動を判定してしまう:GPSの情報だけをもとに「来店した・していない」を判断すると、実際には店に入っていないのに来店したと誤判定されることがあり、そのまま集計データのズレにもつながります
数字としての「誤差○m」ではなく、「困る具体的な場面」に置き換えて考える習慣をつけておくと、扱いを誤らずに済みます。
図で見る「マルチパス」による誤差
ビルの多い場所で誤差が大きくなりやすい理由を、図で確認してみましょう。

① 位置情報の設定がオンになっているか確認する
まず基本の確認です。設定アプリから「位置情報サービス」がオンになっているか、該当のアプリ(地図アプリなど)に位置情報の利用が許可されているかを確認しましょう。
② 建物の中や地下にいないか確認する
GPS信号は、建物の中や地下、高層ビルが密集した場所では受信しにくくなります。屋外の見晴らしの良い場所に移動すると、位置情報の精度が改善することがよくあります。
③ Wi-FiやBluetoothをオンにする
意外に思われるかもしれませんが、Wi-FiやBluetoothをオフにしていると、位置情報の精度が下がることがあります。これは、周辺のWi-Fiアクセスポイントの情報が位置特定の参考にされているためです。実際に接続していなくても、オンにしておくだけで精度向上に役立つことがあります。
④ 一度、位置情報をリセットする
スマホの設定内にある「位置情報とプライバシー」または「システム」のメニューから、位置情報関連の設定をリセットできる項目がある場合があります。内部のキャッシュ情報が古くなっていると誤差が生じることがあるため、リセットすることで改善する場合があります。
⑤ スマホを再起動する
GPSに限らず、多くの一時的な不具合は再起動で解消されることがあります。他の方法を試す前に、一度試しておくとよいでしょう。
⑥ ソフトウェアを最新版に更新する
OSが古いままだと、位置情報関連の機能に不具合が残っている場合があります。設定からソフトウェアアップデートの有無を確認してみてください。
こんな時は、設定ではなく端末側の問題を疑う
上記をすべて試しても改善しない、かつ以下のような状況に当てはまる場合は、GPSを受信するアンテナ部分の物理的な不具合(経年劣化や故障)の可能性も視野に入れておく必要があります。
- 屋外の見晴らしの良い場所でも、明らかに現在地と大きくずれた場所が表示され続ける
- 他の同じ機種を使っている人と比べて、明らかに精度が低い
- 特定のアプリだけでなく、地図アプリ・カメラの位置情報付与など、位置情報を使うすべての機能で同様の症状が出る
この場合は、メーカーのサポート窓口や修理業者への相談を検討しましょう。なお、意外な原因として、端末の日付・時刻設定が大きくズレていることもあります。GPSは時刻情報も使って現在地を計算しているため、時刻がズレていると位置情報の精度にも影響することがあります。心当たりがある場合は、パソコンの時刻がずれる原因の記事もあわせてご確認ください。
検索でよく聞かれる、場面別の見方
GPSのずれは、場面によって、原因が違います。「こういう時に、ずれた」という形で、整理します。
高層階や、ビルの中でずれる
衛星からの電波は、建物に遮られて、弱くなります。特に、高さ(何階か)の精度は、水平方向より、低くなりやすいとされています。ビルの中では、Wi-Fiや、基地局の情報を頼りに、位置を推定するため、数十メートル単位でずれることもあります。
動いていないのに、現在地が、ふらふら動く
室内や、ビルの間では、電波が、壁や建物に反射して、位置が揺れます。止まっていても、位置が、数メートル〜十数メートル動いて見えることがあります。故障では、ありません。
徒歩ルートが、道からずれて表示される
ビルが多い場所では、電波の反射(マルチパス)で、現在地の点が、道の外にはみ出して見えます。地図アプリは、「道の上に、補正」して表示することもありますが、完全ではありません。周りの建物や、交差点を、目で確認して、地図は、補助として使います。
写真の位置情報(ジオタグ)が、おかしい
撮影した瞬間に、位置の取得が、間に合っていないと、少し前の場所が、記録されることがあります。屋内で撮った写真や、機内モードで撮った写真は、位置が付かない・ずれる場合があります。
スマートウォッチや、ワークアウトで、ずれる
腕の動きや、周りの建物の影響で、軌跡が、道から外れて見えることがあります。ランニングの距離が、実際と、少し違うといったことも、起きます。機種や設定(省電力のモードなど)で、精度が変わる場合があります。
そもそも、日付や時刻が、ずれていないか
意外な原因が、端末の日付・時刻の、大きなズレです。位置情報の計算には、時刻が関係するため、時刻がずれていると、位置が正しく出ないことがあります。スマホの日付・時刻がずれる時の直し方も、あわせて確認してください。
GPSと上手に付き合うコツ
位置情報のズレは、電波の受信状況や設定に起因することがほとんどです。屋外での確認や再起動から、順番に試してみてください。それでも改善しない場合は、端末側の不具合も視野に入れて、無理をせず専門窓口に相談することをおすすめします。