結論: CVSS(共通脆弱性評価システム)は、脆弱性の深刻度を、0.0〜10.0の点数で表す、世界共通のものさしです。点数が高いほど深刻で、**9.0以上は「Critical(緊急)」に区分されます。ただし、点数は「悪用された場合の、理論上の深刻度」**です。実際に悪用されているかは、別の情報で見る必要があります。
CVSSとは
CVSS(Common Vulnerability Scoring System)は、ソフトウェアの脆弱性が、どのくらい深刻かを、共通の基準で点数にする仕組みです。ニュースで、「CVSSスコアは8.8」「深刻度は9.8」といった表現を見かけます。
脆弱性そのものの基本は、脆弱性とは?で解説しています。
CVSSは、脆弱性に付けられる番号「CVE」とセットで使われます。
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| CVE | 脆弱性を識別する番号(名前) |
| CVSS | 脆弱性の深刻度の点数 |
点数の区分
点数は、次の5つの区分に分かれます。
| 点数 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|
| 0.0 | None(なし) | 影響なし |
| 0.1〜3.9 | Low(低) | 影響は小さい |
| 4.0〜6.9 | Medium(中) | 条件が整えば、影響がある |
| 7.0〜8.9 | High(高) | 影響が大きい |
| 9.0〜10.0 | Critical(緊急) | 非常に深刻。早急な対処が必要 |
ニュースの例
- 7-Zipの、ヒープバッファーオーバーフローの脆弱性は、**CVSS 8.8(High)**と報じられました
- 7-Zipの、XZ形式の処理にある脆弱性(CVE-2026-14266)は、**CVSS 7.0(High)**です
詳しい経緯は、7-Zipがv26.05に更新で解説しています。
点数は、どうやって決まるのか
CVSSの点数は、複数の観点を組み合わせて計算されます。代表的なものを、挙げます。
| 観点 | 見ること |
|---|---|
| 攻撃元(どこから攻撃できるか) | ネットワーク経由か、パソコンの前に座る必要があるか |
| 攻撃の難しさ | 特別な条件が必要か、簡単にできるか |
| 必要な権限 | ログインが必要か、不要か |
| 利用者の操作 | ファイルを開くなど、利用者の操作が必要か |
| 影響の大きさ | 情報が漏れる・書き換えられる・止まる、のどれが、どの程度か |
たとえば、インターネット経由で、ログインも利用者の操作も不要で、情報の漏えい・改ざん・停止のすべてが、重大な場合は、9.8になります。「9.8」が、ニュースでよく見られるのは、条件が、最悪に近いためです。
反対に、パソコンの前でしか使えない、ログインが必要、ファイルを開く操作が必要といった条件がつくと、点数は下がります。
評価の種類:Base・Threat・Environmental
CVSSの点数には、次のような種類があります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 基本評価(Base) | 脆弱性そのものの特性から決まる、基本の点数。ニュースで見るのは、多くがこれ |
| 脅威(攻撃の状況) | 攻撃のコードが出回っているか、など、時間とともに変わる要素 |
| 環境評価 | 自分の組織の環境や、システムの重要度に合わせた調整 |
ニュースの点数は、基本評価であることが多く、自分の環境に合わせた評価ではありません。
バージョン:3.1と4.0
CVSSには、バージョンがあります。広く見られるのは、3.x系ですが、4.0も使われ始めています。
- 評価の項目や、考え方が見直されている
- ニュースや各社の情報に、3.xと4.0の点数が混在する場合がある
比較する時は、同じバージョンの点数かどうかを、確認してください。
点数だけで判断してはいけない理由
CVSSは便利ですが、それだけで、優先順位を決めると、見誤ることがあります。
理由① 悪用されているかは、別の話
CVSSは、「もし悪用されたら、どれだけ深刻か」を表します。実際に、すでに悪用されているかは、別の情報で確認する必要があります。
たとえば、2026年10月のWindows Updateでは、深刻度が「重要」とされた脆弱性のうち1件が、すでに悪用が確認されていると報じられました。一方、「緊急(Critical)」と評価された76件は、悪用が確認されたものとは、別の話です。深刻度が高くないから安心、とは言えません。
理由② 自分の環境に関係があるか
点数が高くても、自分が、その機能やソフトを使っていなければ、影響はありません。逆に、点数がそれほど高くなくても、自分が使っていて、外から見える状態なら、優先して対処すべき場合があります。
理由③ 点数は、評価した人によって変わることがある
同じ脆弱性でも、**評価する立場(発見者・開発元・公的機関)**によって、点数が違うことがあります。