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RTO・RPOとは?バックアップで「どこまで・何時間で戻せるか」の指標

執筆・監修:よろずやIT編集部|編集方針を見る

結論:まずここだけ読めばOK

詳しい手順・原因は、この下で解説しています。

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一言でいうと

RPOとRTOは、災害やトラブルの時に、システムやデータを「どこまで」「どれくらいで」戻すかの目標を表す、2つの指標です。

指標 正式名称 意味 問い
RPO Recovery Point Objective(目標復旧時点) どの時点のデータまで戻せるか どれだけ前のデータまでなら、失っても許せるか
RTO Recovery Time Objective(目標復旧時間) 止まってから、何時間以内に復旧させるか どれだけの時間、止まっていても耐えられるか

たとえ話:書きかけの原稿が消えたら

パソコンで原稿を書いていて、突然、データが消えたとします。

RPOを短くするには、保存の頻度を上げる必要があります。RTOを短くするには、復旧の手順や仕組みを整える必要があります。

バックアップの取り方との関係

バックアップの頻度 RPO(最大でどれだけ失うか)
週に1回 最大で約1週間分
毎日1回 最大で約1日分
1時間ごと 最大で約1時間分
リアルタイムに複製 ほぼゼロ(ただし、費用と仕組みが大きくなる)

頻度を上げるほど、RPOは小さくなりますが、費用も手間も増えます。どこで折り合いをつけるかが、RPOを決めるということです。

決め方の流れ

  1. 業務を洗い出す:どんな業務で、どのデータやシステムを使っているか
  2. 影響を考える:その業務が止まったら、データが失われたら、どんな影響が出るか
  3. 許容できる範囲を決める:許容できるデータ損失(RPO)と、停止時間(RTO)
  4. 手段を選ぶ:バックアップの頻度、保存先、復旧の手順を、目標に合わせて選ぶ
  5. 実際に試す:目標どおりに、復旧できるかを確かめる

すべての業務を、最高水準にする必要はありません。たとえば、注文システムは厳しく、社内の資料置き場は緩めに、というように、重要度に応じて決めます。

業務ごとの考え方(例)

目標の決め方のイメージを、例で示します。あくまで考え方の例であり、実際の値は、業務への影響で決めてください。

業務の例 失うと困る度合い 止まると困る度合い 考え方
受注・決済のシステム 非常に大きい(取引の記録が消える) 非常に大きい(売上に直結) RPO・RTOとも、厳しく設定し、手間と費用をかける
社内の共有ファイル 大きい(作業の成果が消える) 中程度(数時間は代替可能) 毎日のバックアップを基本に、復元時間を確認する
社内向けの情報サイト 中程度 小さい 週次のバックアップなど、緩めの設定にする
個人のパソコン 人による(写真や書類) 小さい クラウドと外付けの、2か所に分けて保存する

「どのデータを失うと、一番困るか」から考えると、優先順位がつけやすくなります。

最も見落とされるのは「復元テスト」

バックアップで重要なのは、「バックアップを取っていること」と「必要な時に復元できること」は別だという点です。設定が有効で、毎日バックアップが取れていても、実際にデータを戻せるかどうかは、復元を試してみるまで分かりません。

たとえば、次のような問題があれば、いざという時に、想定どおりには復旧できません。

こうした問題は、試して初めて見つかります。年に1回でも構いません。実際に復元を試し、かかった時間を記録しておくことが、RTOを現実のものにする、一番確実な方法です。

データ分析や業務システムの支援でも、「普段は問題なく動いていること」と、「トラブルが起きた時に、業務を再開できること」は、分けて考える必要があると感じています。バックアップの有無を確認するだけでなく、次の3点まで確認することが大切です。

バックアップの基本は、パソコンのバックアップの始め方や、同期とバックアップの違いで解説しています。

ITに詳しくない方への、伝え方

RPOやRTOは、専門用語から説明すると、難しく感じられます。私なら、まず次のように問いかけます。

明日の朝、仕事で使っているシステムが、突然使えなくなったら、どうしますか?

そこから、2つの言葉に分けて考えてもらいます。

決めるのは、技術担当者だけではない

RPOとRTOは、技術担当者だけで決めず、実際に業務を行う人と相談して決めることが大切です。技術的に復旧できることと、業務上それで間に合うことは、同じではありません。

「技術的には、半日で戻せる」と言われても、現場にとっては、「午前中に使えなければ、その日の仕事が回らない」かもしれません。業務側の「許容できる範囲」を聞いてから、技術側が手段を選ぶ。この順番が、目標を現実的なものにします。

「バックアップがある」は、安心の証拠ではない

特に、ランサムウェアのような被害を考える時は、「バックアップがある」と言われても、実際に復元できるかを確認していない組織を、多く見かけます(件数を集計したものではありません)。さらに、バックアップの保存先が、感染した環境と同じ場所にあり、一緒に被害を受けてしまうことも考えられます。

「取っている」ことと、「復元できる」ことは、別です。そこで大切になるのが、次の2点です。

私自身も、大事なデータは、クラウドと外付けなど、2か所以上に分散して持つようにしています。1か所が使えなくなっても、もう1か所から戻せる状態にしておくことが、RPO・RTOを現実のものにする一番の近道だと感じています。ランサムウェアについては、ランサムウェアとはで解説しています。

関連する対策

まとめ

関連記事:3-2-1バックアップとは(「同期はバックアップではない」を図で整理)

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よくある質問

Q.RPOとRTOは、どちらが重要ですか?

A.どちらも重要で、役割が違います。RPOは「失ってもよいデータの量」、RTOは「止まっていてもよい時間」です。業務によって、データを失うほうが痛いのか、止まるほうが痛いのかが異なるため、業務ごとに両方を決めます。

Q.毎日バックアップを取っていれば、十分ですか?

A.毎日1回のバックアップなら、最悪の場合、最大で約1日分のデータが失われます(RPOが約24時間)。それで業務に支障がないかを判断する必要があります。また、復元にどれだけ時間がかかるか(RTO)は、別に確認が必要です。

Q.個人や小規模な事業でも、考える必要がありますか?

A.考える価値があります。大がかりな数値目標は不要ですが、「データが消えたら、どこまで困るか」「戻すのに何時間かかったら困るか」を、一度考えておくだけで、バックアップの取り方が変わります。

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