新しい機能を開発したとき、資料やテスト項目の確認だけで「問題なし」と判断していないでしょうか。実際に自分で使ってみると、想定していなかった不便さに気づくことは少なくありません。
ドッグフーディングとは「自分たちで使ってみる」文化のこと
ドッグフーディングとは、自社で開発した製品やサービスを、開発した本人たちが実際の業務や日常生活の中で使ってみる取り組みのことです。「ドッグフードを作っている会社の社員が、自社のドッグフードを自分の飼い犬に与える」という慣習が語源とされており、そこから「自分たちの作ったものを、自分たちで実際に使う」という意味で使われるようになりました。
IT業界では、社内のチャットツールやプロジェクト管理ツールを自社開発している場合、その開発チーム自身が日々の業務でそのツールを使う、というのが典型的な例です。
なぜ、テストだけでは不十分なのか
事前に用意されたテスト項目の確認は、もちろん重要な工程です。しかし、テスト項目はあくまで「想定される使い方」に基づいて作られているため、実際の利用シーンで起きる、想定外の使われ方までは網羅できません。
例えば、
- 頻繁に使う機能へたどり着くまでの手順が、実は面倒だった
- エラーメッセージの文言が、開発者には分かっても利用者には伝わらなかった
- 想定していなかった順番で操作すると、動作がおかしくなった
といった問題は、テスト項目をなぞるだけでは見つかりにくく、実際に「利用者として」日常的に使ってみることで初めて気づけるケースがほとんどです。
開発者にとっての、もう一つの効果
ドッグフーディングには、不具合の発見だけでなく、開発者自身が「使いにくさ」を実感として持てるようになる、という効果もあります。資料上では「問題ない」機能でも、実際に何度も使ってみると、地味なストレスに気づくことがあります。この実感は、次の改善のアイデアにつながりやすく、利用者の声を聞くだけでは得られない、開発者ならではの気づきを生み出します。
一方で、注意点もあります。開発者は製品の仕組みを熟知しているため、一般の利用者よりも「操作に慣れている」状態でテストしてしまいがちです。ドッグフーディングだけに頼らず、実際の利用者からのフィードバックも合わせて確認することが、バランスの取れた品質改善につながります。
まとめ
ドッグフーディングは、自分たちが作った製品を、自分たちで実際に使ってみるというシンプルな取り組みですが、テスト項目だけでは見つけられない気づきを与えてくれます。資料上の確認で終わらせず、実際に利用者の立場で使ってみる姿勢が、製品の質を底上げする一歩になります。