何が起きているのか
トレンドマイクロは2026年8月20日、「個人セキュリティ脅威動向レポート 2026 上半期」を公開しました。この中で報告されているのが、テクニカルサポート詐欺の急増です。同社のサポートセンターへの報告件数は5,499件にのぼり、前年同期比で2.5倍に増加しています。
テクニカルサポート詐欺とは、Webサイトを閲覧しているだけで突然「ウイルスに感染しました」「システムが破損しています」といった偽の警告画面が表示され、あわせて偽のサポート窓口の電話番号が示される手口です。慌てて電話をかけてしまうと、遠隔操作ソフトのインストールや、修理費用・サポート契約料と称した金銭の支払いを求められます。
誘導の入口が「メール」に広がっている
これまでこの手口は、主にWeb広告からの誘導が中心でした。しかし今回のレポートでは、偽の警告サイトへ誘導するメールが165日間で約1,338万通観測されており、誘導の起点がメールへと拡大していることが分かっています。
さらに、宛先の約94%が日本国内向け(.jpドメイン)に集中しており、配信時間帯も日本時間の9時〜21時に集中しているとのことです。日本国内のユーザーを明確に狙った、組織的な配信であることがうかがえます。
偽サイトは「1日限りの使い捨て」
もう1つ注目したいのが、偽の警告サイトの作り方です。誘導先の偽警告サイトは3万3千件超確認されていますが、その約9割が1日限りで使い捨てられているとのこと。正規のクラウドサービスが持つ静的Webホスティング機能を悪用して手軽に量産されており、これが検知を難しくしている一因になっています。
一方で、偽サイトに記載されている電話番号自体はごくわずかで、確認された4,721件の偽サイトに対し、使われていた電話番号はわずか11個でした。1つの電話番号が、数百のサイトで使い回されている計算になります。
個人だけでなく、法人従業員も標的に
2026年4月中旬からは大手ECサイトや国税庁を装う文面、5月からは「人事評価」など社内連絡を装う文面も確認されており、標的は個人利用者だけでなく、法人の従業員にも広がっているとされています。会社のパソコンだから大丈夫、とは言い切れない状況です。
警告画面が出たら、まずやるべきこと
- 記載された電話番号には、絶対に電話しない
- 慌てずブラウザを閉じる(全画面表示になっていて閉じられない場合は、キーボードの「Esc」キーを試す)
- それでも消えない場合は、パソコンを再起動する
- すでに電話してしまった、遠隔操作を許可してしまった場合は、ネットワークを切断し、家族や周囲に相談する
以前の記事「フィッシング詐欺の見分け方」でも触れた通り、詐欺の手口は年々巧妙になっています。「本物っぽいから」で判断せず、「画面からの指示で電話をかけさせようとする時点でまず疑う」という意識を持っておくことが、一番の対策になります。
不安な場合は、セキュリティソフトを導入し、偽サイトへのアクセス自体をブロックする対策も有効です。
参考
※ 統計データは2026年8月20日時点のトレンドマイクロの発表に基づきます。最新の状況は上記の公式発表もあわせてご確認ください。