結論: USB PDは、USB Type-C端子で、機器の要求に応じて電力を自動調整する急速充電の規格です。充電器・ケーブル・機器のすべてが対応していないと、本来の速さは出ません。
USB PDとは何か
USB PD(Power Delivery)とは、USB規格の標準化団体であるUSB-IF(USB Implementers Forum)が策定した、USB Type-C端子を使った急速充電のための規格です。従来のUSB充電と比べて、はるかに大きな電力を、1本のケーブルで安全に供給できるようにする技術です。
図で見る、給電能力の進化
「PD対応」と書かれた充電器が、なぜあれほど速く充電できるのか、これまでのUSB規格と比べてみると分かりやすくなります。
従来のUSB規格では、USB 2.0で最大2.5W、USB 3.0でも最大4.5W程度しか電力を供給できませんでした。これに対しUSB PDでは、最大100W(USB PD 3.1では最大240W)までの電力供給が可能になっており、スマートフォンだけでなく、消費電力の大きいノートパソコンの充電にも対応できるようになっています。
なぜ自動的に最適な電力で充電されるのか
USB PDの大きな特徴は、充電器と機器がケーブルを通じて自動的に通信し、「この機器には何ワット必要か」という情報をやり取りしてから、最適な電力で充電を始める仕組みになっている点です。USB-IFの公式サイトでも、USB Type-Cのケーブルを介してデータと電力の両方を、より柔軟に供給できるようにすることを目的とした規格だと説明されています。
利用者が難しい設定をする必要はなく、対応する機器同士を接続するだけで、自動的にこの通信が行われます。また、機器側が必要とする以上の電力が送られることはないため、安全性の面でも配慮された設計になっています。
実際によくある「充電が遅い」の原因
「PD対応の充電器を買ったのに、思ったより充電が速くならない」という場合、以下のいずれかが原因になっていることが多いです。
- ケーブル自体がUSB PDに対応していない:充電器がPD対応でも、間に挟むケーブルが古い規格のものだと、性能をフルに発揮できません
- 充電される機器側がPDに対応していない:充電器・ケーブルが対応していても、スマホやパソコン自体がPD非対応であれば、通常の速度での充電になります
- 充電器の最大出力(W数)が、機器が求める電力に対して不足している:例えば65W出力の充電器では、100W級の電力を必要とするノートパソコンを、最速では充電できません
充電器・ケーブルを選ぶ際のポイント
①充電したい機器の「対応W数」を確認する
メーカーの製品仕様ページなどで確認できます。ノートパソコンなど消費電力の大きい機器は、それに見合った高出力の充電器が必要です。
②ケーブル自体もPD対応のものを選ぶ
見た目が同じUSB Type-Cケーブルでも、対応する電力や通信速度は製品によって異なります。パッケージや製品仕様に「USB PD対応」の記載があるかを確認しましょう。
③1つの充電器を複数の機器で使い回せるメリットも意識する
USB PD対応の充電器であれば、ノートパソコン用として購入したものを、スマートフォンの充電にも兼用できます。持ち歩く充電器を1つに減らせる点も、USB PDの実用的なメリットです。
ノートパソコンを充電する場合の注意点
スマホと違い、ノートパソコンはより高い電力を必要とします。65W程度までのUSB PD充電器では、動作はしても本来の充電速度を発揮できなかったり、使用しながらの充電では少しずつ減っていったりすることがあります。ノートパソコンをメインで充電したい場合は、パソコン側が推奨する出力(多くは65W〜100W程度)を満たす充電器を選ぶことが重要です。
充電が思ったより遅いと感じたら
USB PDは、充電器・ケーブル・機器の3つが揃って初めて本来の性能を発揮する規格です。「PD対応」と書かれた製品を選ぶ際は、充電器だけでなく、ケーブルと機器側の対応状況もあわせて確認する習慣をつけておくと、無駄な買い物を防げます。
参考
※ 規格や仕様は更新されることがあるため、最新の情報は上記の公式ページもあわせてご確認ください。