ソブリンクラウドとは何か
ソブリンクラウドとは、企業や政府機関が扱うデータやシステムを、その国・地域の法律や規制に準拠した形で、その国内(または特定の地域内)に確実に保管・運用することを目的としたクラウドサービスのことです。「ソブリン(sovereign)」は「主権」という意味で、データの取り扱いにおける「主権」を重視する、という考え方から名付けられています。
なぜ「データの国境」が意識されるようになったのか
クラウドサービスは、世界中に分散したデータセンターでデータを管理できる利便性が大きな魅力です。しかし一方で、「自国の機密性の高いデータが、海外のデータセンターに保管され、その国の法律の影響を受けてしまうのではないか」という懸念が、特に政府機関や金融機関を中心に高まってきました。
こうした背景から、「データは物理的にどこの国に置かれているのか」「その国の法律に基づいて、他国の政府がアクセスできてしまう可能性はないか」といった点が、より重要視されるようになっています。
「国内保管の金庫」に例えると
ソブリンクラウドの考え方は、貴重品を預ける金庫に例えるとわかりやすいかもしれません。海外の金庫に預けても安全性自体は高いかもしれませんが、「その国の法律や制度の影響を受ける可能性がある」という点を懸念し、あえて自国内で管理が完結する金庫を選ぶ、というイメージに近いです。
主にどんな組織で重視されているか
- 機密性の高い情報を扱う政府機関や公共機関
- 顧客の資産情報を扱う金融機関
- 個人の医療情報など、機微な情報を扱う医療関連の組織
導入における課題
自国内でのデータ管理にこだわるほど、世界中の最新技術やサービスをすぐに利用できないなど、利便性とのトレードオフが生じることもあります。安全性の確保と、技術活用によるメリットとのバランスをどう取るかが、今後の課題とされています。
全体を通して言えること
ソブリンクラウドは、国際的な地政学リスクの高まりを背景に、「データがどこの国のルールの下に置かれるか」を重視する新しい考え方です。今後、国や業界を問わず、意識される場面が増えていくと見られています。