RPAとは何か
RPA(Robotic Process Automation)とは、あらかじめ人間が細かく設定した、決まった手順の通りに、パソコン上の定型作業を自動的に繰り返し実行してくれる技術のことです。「毎日決まった時間に、決まったファイルを開き、決まった形式でデータを転記する」といった、ルールがはっきり決まった作業の自動化を得意としています。
エージェンティックAIとは何か
以前の記事で紹介した「AIエージェント」を実現する技術は、「エージェンティックAI」とも呼ばれます。RPAとの決定的な違いは、あらかじめ細かい手順を人間が設定しておく必要がなく、AI自身が状況を判断しながら、その都度最適な手順を考えて実行する点にあります。
「レシピ通りに作る料理人」と「創意工夫できる料理人」の違い
この2つの技術の違いは、料理人に例えるとわかりやすいかもしれません。
- RPA:決められたレシピ(手順書)に、寸分違わず忠実に従って調理する料理人。レシピにない事態(材料がない、想定外の注文が入るなど)には対応できません
- エージェンティックAI:大まかな目標(「美味しい料理を作って」)だけを伝えれば、その場の状況(在庫、注文内容など)を判断しながら、自分で工夫して調理まで仕上げる料理人
どちらが優れているというわけではない
RPAは、決まりきった作業を、高速かつ間違いなく大量にこなすことに非常に長けています。一方エージェンティックAIは、状況に応じた柔軟な判断が求められる、より複雑な業務に向いています。それぞれ得意分野が異なるため、業務内容に応じて適切に使い分ける、あるいは組み合わせて活用することが、今後主流になっていくと考えられています。
今後の業務自動化の方向性
これまでRPAが担ってきた「決まった作業の自動化」に加え、エージェンティックAIによる「状況判断を伴う自動化」が組み合わさることで、より広い範囲の業務が自動化の対象になっていくと期待されています。
支援先でよくある「AIを入れれば全部自動化できる」という期待
AI自動化の相談でよくあるのが、「AIを入れれば、人間の仕事を全部自動化できる」と期待してしまうことです。実際には、定型的な作業はRPAの方が安定していることも少なくありません。
「決まったExcelから数字を取得して、決まったシステムに入力する」なら、ルールが明確なのでRPA向きです。一方、「届いたメールの内容を判断して、必要な情報を整理し、次に何をすべきか考える」となると、AIを使う意味が出てきます。決められたことを正確に繰り返すのが得意なのがRPA、状況を見ながら判断を伴う作業を扱いやすいのがAI系の自動化、と考えると分かりやすいです。
ただし、AIは柔軟な分、毎回まったく同じ結果になるとは限りません。「自動化できるか」ではなく、「間違えたときに人が確認できる仕組みを作れるか」まで考えることが重要だと、支援の現場でも感じています。
押さえておきたいポイント
RPAは「決められた手順を正確に繰り返す」自動化、エージェンティックAIは「状況に応じて自ら判断し行動する」自動化です。目的に応じた使い分けが、今後の業務効率化の鍵になりそうです。