※この記事は、2026年10月14日時点の一般的な情報にもとづいています。
ハッシュ化の仕組みそのもの(ソルト・bcryptなど)は、パスワードのハッシュ化とは?で解説しています。この記事では、流出した時の考え方と、対処を中心にまとめています。
一言でいうと
ハッシュ化とは、パスワードを、元に戻せない形に変換して、保管する仕組みです。
サービスは、利用者のパスワードを、そのままの文字で保管するのではなく、**変換した値(ハッシュ値)**を、保管します。ログインの時は、入力されたパスワードを、同じ方法で変換し、保管されている値と一致するかを確認します。
たとえ話:粉々にしたメモと、照合
大事なパスワードを書いたメモを、シュレッダーにかけて、細かい紙片にして保管するとします。紙片から、元のメモを復元するのは、とても難しい。
ログインする時は、利用者が書いたパスワードを、同じ方法で、シュレッダーにかけ、保管されている紙片と、一致するかを見ます。元のメモは、どこにも残っていません。これが、ハッシュ化のイメージです。
流出の発表で見かける表現
2026年10月の流出の発表でも、パスワードについて、次のような表現が使われています。
- 「パスワードは、復元できない形式で保管している」(タイムズカー)
- 「パスワードのハッシュ値」が含まれる可能性(ブックオフ)
- 「ハッシュ化したログインパスワード」を含む(skyticket)
- 「暗号化されたパスワード」(infoQ、楽天ドライブの一部)
各社の公表は、個人情報流出 2026年10月の主な事案|パスワード変更は必要?早見表で整理しています。
「元に戻せない」でも、安全とは限らない
ハッシュ化されたパスワードが流出しても、元のパスワードを、そのまま読み取れるわけではありません。しかし、安全とは言い切れません。
攻撃者は、よく使われるパスワードや、推測できそうなパスワードを、大量に変換して、流出したハッシュ値と見比べることで、元のパスワードを割り出そうとします。
| パスワードの種類 | 割り出されやすさ |
|---|---|
| 短い、数字だけ、よく使われる言葉 | 割り出されやすい |
| 名前や誕生日など、推測できるもの | 割り出されやすい |
| 長くて、ランダムな、他と重複しないもの | 割り出されにくい |
つまり、ハッシュ化は、パスワードの強さを、補うものではありません。強いパスワードを、さらに守るための仕組みです。
暗号化と、ハッシュ化は違う
「暗号化されたパスワード」という表現も、見かけます。
| 方式 | 元に戻せるか | 主な用途 |
|---|---|---|
| ハッシュ化 | 戻せないことを前提 | パスワードの保管 |
| 暗号化 | 鍵があれば、戻せる | データの保護(通信や保存) |
ただし、公表の言葉は、必ずしも厳密に使い分けられていません。どの方式か、どんな強さかは、発表だけでは、分からないことが多くあります。ですから、利用者の側では、**「安全のため、変更する」**と考えるのが、確実です。
対処:変更する、使い回しをやめる
ハッシュ化されたパスワードが流出した(可能性がある)場合は、次の対処をおすすめします。
- そのサービスのパスワードを、変更する(公式サイトや公式アプリから)
- 同じパスワードを使っている、他のサービスも、すべて変更する
- 多要素認証を、設定する(2段階認証とパスキー)
- パスワード管理ツールで、サービスごとに、別々の長いパスワードにする(パスワード管理の基本)
流出したパスワードが、他のサービスでも使われていると、リスト型攻撃で悪用される恐れがあります(リスト型攻撃とは)。
サービス側が、できること(参考)
利用者から見えない部分ですが、サービスを運営する側には、次のような対策が求められます。
- パスワードを、十分に強い方式でハッシュ化し、利用者ごとに異なる値(ソルト)を加える
- 多要素認証や、パスキーを導入して、パスワードだけに依存しない
- ログイン試行の制限や、不審なログインの検知を行う
- そもそも、不要なデータを持たない
まとめ
- ハッシュ化は、パスワードを元に戻せない形に変換して保管する仕組み
- 「元に戻せない」ことと「安全」は別。短い、推測されやすいパスワードは、割り出される
- 暗号化と、ハッシュ化は違うが、発表の言葉からは、実際の方式や強さは分からない
- 流出の対象になったら、変更し、使い回しをやめ、多要素認証を設定する