「繋がった」のに、使えない
在宅勤務や出張先から、VPNで社内に接続した。VPNソフトの画面には、「接続済み」と表示されている。それなのに、社内のシステムが開かない、ファイルサーバーが見えない。このような相談を受けることがあります。
VPNの基本は、VPNとはで解説しています。この記事では、「VPNは繋がったのに、社内システムが使えない」時の、確認の順番を整理します。
「繋がった」と「使える」は別
VPN導入の場面でよく感じるのは、「繋がった後に、何ができるのか」の整理が、十分でない場合が多いということです。
VPNは、社内ネットワークへの入口を開ける仕組みです。入口を通れても、その先で、次のようなことが、別に必要になります。
- 社内システムの名前から、**場所(IPアドレス)**を調べられる(名前解決)
- 目的のシステムまでの経路が、用意されている
- そのシステムを使う権限が、与えられている
- システム自体が、正常に動いている
つまり、VPNに接続できても、そのうちのどれか1つが欠けていれば、使えないのです。接続が成功しているのに、見えない原因は、DNSやアクセス権限など、VPNとは別の要因であることが多くあります。
症状から、疑う場所を絞る
| 症状 | 疑う場所 |
|---|---|
| IPアドレスで開けるが、名前(URL)では開けない | 名前解決(DNS)の問題 |
| 名前でもIPアドレスでも開けない | 通信の経路、またはシステム側の問題 |
| 開けるが、ログイン後に、権限がないと表示される | アクセス権限の問題 |
| 特定のシステムだけが開けない | そのシステム側の問題、または、そこへの権限・経路 |
| 他の人は使えているが、自分だけ使えない | 自分のアカウントの権限、または端末の設定 |
| 昨日までは、使えていた | 何かが変わった(権限の変更、システムの更新、パスワードの期限など) |
「どの範囲で起きているか」(自分だけか、全員か、特定のシステムだけか)が、切り分けの最初の手がかりになります。
確認する順番
① VPNの接続状態を、確認する
VPNソフトで、接続されているかを確認します。いったん切断し、再接続して、変化があるかを試します。
② 名前解決(DNS)を、確認する
社内システムの名前で、場所を調べられているかを確認します。パソコンのコマンド入力画面(Windowsなら「コマンドプロンプト」、Macなら「ターミナル」)で、次のように入力します。
nslookup 社内システムの名前
結果として、IPアドレスが表示されるなら、名前解決はできています。表示されない、またはエラーになるなら、DNSに問題がある可能性があります。
もう一つの確認方法は、IPアドレスで直接開くことです。IPアドレスで開けて、名前では開けないなら、DNSの問題と考えられます。IPアドレスは、組織の情報システム部門などに、確認します。
③ 通信が届くかを、確認する
次のコマンドで、通信が届くかの目安を確認できます。
ping 社内システムのIPアドレス
応答があれば、そこまで届いています。ただし、セキュリティの設定で、応答しない機器もあるため、応答がないことだけで、判断しないでください。
④ アクセス権限を、確認する
画面は開くが、ログインや操作ができない場合は、権限の問題の可能性があります。自分のアカウントに、そのシステムを使う権限が付与されているか、情報システム部門に、確認します。権限の設計は、最小権限の原則とはの考え方が、参考になります。
⑤ 端末側の設定を、確認する
- 日付と時刻が、正しいか(ずれていると、認証や証明書の確認が失敗することがあります)
- 他のVPNや、セキュリティソフトが、通信を妨げていないか
- ブラウザで見ている場合、別のブラウザや、シークレットウィンドウで、試す